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Vol.2 「MARGARET HOWELL」のコーデュロイジャケット

Vol.2 「MARGARET HOWELL」のコーデュロイジャケット

2021.10.22

MY FAVOURITE THINGS

スタッフの私的愛用品

THE LIBRARYのスタッフが大切している
ファッションの思い出。
人生の節目で出合った服や小物と、
それにまつわるエピソードを綴ります。

「MARGARET HOWELL」の
コーデュロイジャケット
———— 天神店スタッフ 岡 直樹さん

コーデュロイを気取りなく着られるまで

マーガレット・ハウエルのコーデュロイに特別な思いを抱いたのは、9年前のこと。新卒入社1年目だった私は、憧れのブランドであるマーガレット・ハウエルを扱うアングローバルでの仕事に緊張しつつも充実した日々を過ごしていました。優しく面白い先輩たちと食事や飲みに行くこともよくありました。

そんなある日、3つ歳上の先輩と食事に行くことになったのです。寒さがしみる12月でしたが、私はグレーのガンジーニットにモスグリーンのツイードジャケット、ブラックのウールトラウザーという、めいっぱい背伸びしてお気に入りのマーガレット・ハウエルに身を包み出掛けました。

というのも、その先輩はかっこいいのに気取りのない、マーガレット・ハウエルを体現しているような人で、私は心のどこかで「褒められたい」「認められたい」とひそかに思っていたから。しかし、そんな感情は遠くからやって来る先輩の姿を目にした途端に、すっとどこかに消え去り、背伸びした自分が恥ずかしくなったのを今もよく覚えています。

とにかく先輩の着こなしは素敵でした。ブラウンがかったベージュのコーデュロイジャケットとトラウザーのセットアップに、ライトグレーのウールニット、首元にはマフラー代わりにオフホワイトのカシミヤニットを巻いて。もちろん全てマーガレット・ハウエル。その自然な佇まいがあまりにも格好よく、「めちゃくちゃ格好いいです!」「いつ頃買ったジャケットですか?」「なぜニットを首に巻いてるんですか?」と褒めているのか、よく分からないほど質問攻めにして先輩を困らせてしまいました。

着こなしのなかでも、とりわけ目を引いたのはコーデュロイでした。ナチュラルな色合いと厚みのある生地が魅力的で、私もいつか買いたい、そして、先輩のように着こなしたいと思っていました。以来、コーデュロイのアイテムが展開される度に、わくわくしながら生地に触れ、試着するものの、感じることはいつも同じ。「似合わない」。色なのか、シルエットなのか、自分の自信のなさなのか、何より先輩の姿が目に焼き付いてしまっていて、どうにもしっくりこない。

それでも諦めきれず、ついに2年前、その年に展開されたコーデュロイに一目惚れしてしまいました。「BAY LEAF」と呼ばれる、きれいなオリーブグリーンのジャケットとテーパードトラウザーのセットアップ。すぐにあの時の先輩が浮かんできました。正直なところ、相変わらず「着られている感」は拭えず、似合っているとは思えないけれど、「先輩のように気取りなく、さらっと着られるように内面も含めて精進しよう」と決心し購入しました。

この2年間、大事にしすぎてあまり袖を通していませんが、それでもコーデュロイの生地が身体に馴染んで、少しずつ自分のモノになってきている感覚を嬉しく思うと同時に、着る度に2年前の気持ちに立ち返り緊張感を覚えます。気取りなく着るには程遠く、カシミヤニットをマフラー代わりに巻くようなセンスも持ち合わせてはいないけど、いろいろな感情を思い出させてくれる、マーガレット・ハウエルのコーデュロイジャケットとこれからもじっくり付き合っていきます。