30 August.

THE TABLOID

2019 A/W

Layers of Nature

800年もの長い歴史を持つ「黒谷和紙」。平面作品、空間構成、プロダクトなど、和紙が持つ可能性の広げるハタノさん。美大では油絵を専攻されていたそうですが、和紙に移行したきっかけは何でしょうか?

もともとパネルに和紙を張って油絵を描いていました。その時期に出会ったのが黒谷和紙です。素朴でありながら、モノとしての強さに惹かれましたね。美大卒業後、黒谷和紙の産地である京都・綾部と北海道の二拠点生活を始め、綾部で和紙作り、北海道では農業に従事し、結果的に和紙に専念することになりました。当時は、誰もが都会に出て行く時代。しかしながら、学生時代に趣味であった山登りやツーリングを通じて、連綿と続く村や集落の持続可能な暮らしに興味が湧き、その土地に継承されている伝統的な仕事に魅力を感じたことがきっかけです。

独特の風合いがある平面作品は、どのように作られているのでしょうか?
また、表現を通じて、追求していることは何でしょうか?


紙や土、顔料を幾層にも重ねて質感を作ります。さまざまなものが堆積して混ざり合いながら生まれてくるものが至極シンプルである。しかも、そこには深みある。そういった作品創りを目指しています。いわば、森の葉っぱが紅葉となり、落ち葉となり、土に還って行く自然の摂理のようなものを絵画として表現していきたい、それが作品の根幹にありますね。自然界の原理を取り込んでいるので、見る時間、光の当たり方によってずいぶんと違う印象を与えます。




ハタノさんの作品を拝見していると、作品個体がメッセージを発信しているのではなく、空気感や佇まいが表現そのものになっていると感じます。

昔の絵師さながら、「ここに襖があるから山水画や動物を描こう」といった具合に、空間ありきで考えているところがあります。空間としてのアート作品といいましょうか。絵画として作品を置いた時に、どんな空気を生み出すのかを大切にすると同時に、そこに住む人の暮らし、そして作品との関係性を意識しています。コンセプト主体である現代アートではなく、暮らしに寄り添ったインテリアとしての絵画に面白みを感じますね。目指すものは、非日常の演出ではなく、日常にある風景です。

内装や空間設計に和紙を用いた空間づくりもされていますね。和紙を用いることで、どのような空間を目指していますか?

和紙は、色味や張り方によって、空間の雰囲気を自在に変化させられる万能な素材です。和紙をそのままを用いると、繊維の間に光を含むので柔らかい印象となり、表面をコーティングすると光を反射するのでシャープな印象を与えます。気になる部分を覆って、空間の印象を変えられることも紙の強みですね。私がしていることは、障子や襖の張り替えといった昔の人が自分たちで日常的に行っていたことと何ら変わりません。ですから、昔のように一般の人がもっと和紙と親しめる施工かつ、その空間を使う人が自身の手で修繕できるようなベースを提供する。プロが施工してビシッと決まるような空間ではなくて、みなさんの手が介在することで完成するような空間を作りたいと思っています。

次の目標を教えてください。

暮らしのなかに、「仕事」と「家族」のほかに、「地域活動」がキーワードとしてあります。私を含めて、これからずっとその場所に暮らしていく人たちとの関わり合いは無視できないなという。現在は、地場産業の復活を目指し、和紙の素材である楮を地元で育てていく活動を徐々に広げているところです。昨年は借りていた黒谷和紙の工房を離れ、自宅に紙漉き工房を構えました。次の世代になにが残せるだろうかと考えた結果です。自分の子どもがいつ継いでくれても良い環境ができたことは、大きなモチベーションに繋がっています。この先にある将来を期待して頑張れるのですから。

内装や空間設計に和紙を用いた空間づくりもされていますね。和紙を用いることで、どのような空間を目指していますか?

和紙は、色味や張り方によって、空間の雰囲気を自在に変化させられる万能な素材です。和紙をそのままを用いると、繊維の間に光を含むので柔らかい印象となり、表面をコーティングすると光を反射するのでシャープな印象を与えます。気になる部分を覆って、空間の印象を変えられることも紙の強みですね。私がしていることは、障子や襖の張り替えといった昔の人が自分たちで日常的に行っていたことと何ら変わりません。ですから、昔のように一般の人がもっと和紙と親しめる施工かつ、その空間を使う人が自身の手で修繕できるようなベースを提供する。プロが施工してビシッと決まるような空間ではなくて、みなさんの手が介在することで完成するような空間を作りたいと思っています。



次の目標を教えてください。

暮らしのなかに、「仕事」と「家族」のほかに、「地域活動」がキーワードとしてあります。私を含めて、これからずっとその場所に暮らしていく人たちとの関わり合いは無視できないなという。現在は、地場産業の復活を目指し、和紙の素材である楮を地元で育てていく活動を徐々に広げているところです。昨年は借りていた黒谷和紙の工房を離れ、自宅に紙漉き工房を構えました。次の世代になにが残せるだろうかと考えた結果です。自分の子どもがいつ継いでくれても良い環境ができたことは、大きなモチベーションに繋がっています。この先にある将来を期待して頑張れるのですから。

ハタノワタル Wataru Hatano

京もの認定工芸師。多摩美術大学絵画科油画専攻卒。2000年、黒谷紙漉き師として独立。伝統ある和紙の里で紙を漉き、その黒谷和紙の可能性を広げる活動を行う。個展や内装施工、プロダクト販売を通じて、黒谷和紙の魅力を世界に発信している。

イベントのお知らせ

ハタノワタルさんの染紙で作られた茶箱や道具箱などを販売致します。
※表参道店、京都店のみ、和紙作品の展示販売も致します。

会期:8月30日(金)- 9月8日(日)表参道店、自由ヶ丘店、天神店
   9月14日(土)- 9月23日(月・祝)京都店、神戸店

ハタノワタル Wataru Hatano

京もの認定工芸師。多摩美術大学絵画科油画専攻卒。2000年、黒谷紙漉き師として独立。伝統ある和紙の里で紙を漉き、その黒谷和紙の可能性を広げる活動を行う。個展や内装施工、プロダクト販売を通じて、黒谷和紙の魅力を世界に発信している。

イベントのお知らせ

ハタノワタルさんの染紙で作られた
茶箱や道具箱などを販売致します。
※表参道店、京都店のみ、
和紙作品の展示販売も致します。

会期:8月30日(金)- 9月8日(日)
   表参道店、自由ヶ丘店、天神店
   9月14日(土)- 9月23日(月・祝)
   京都店、神戸店

Beyond the Blank

『Robert Ryman』
出版社:Phaidon
価格:19,000円(税別)

『Robert Ryman』
出版社:Phaidon
価格:19,000円(税別)

何も書かれていないスペースを示す「余白」という言葉には、本質的に中心と周縁の概念が含まれている。中心があって、その周りが意識する必要がないものであるかのような印象を「余った白」という文字の組み合わせから抱いてしまうが、場合によっては白が中心を支えているケースもある。活版印刷が良い例だ。活版印刷で刷られるのは文字部分のみだが、文字の周りは「込め物」と呼ばれる金属片で隙間なく埋められ、その存在によって文字は適切な場所に留まっている。なので、印刷物の白の部分は決して「余白」ではなく、文字を支える「支白」と記す方が正しいようにも思う。
アメリカの画家、ロバート・ライマンの絵画にも活版印刷の白と類似した物が感じられる。ロバート・ライマンは白を基調にした絵画を制作するアーティストとして、ミニマル・アートやコンセプチュアル・アートの作家として評価されている。作品の多くは、白い絵の具のみで描かれた抽象画で、具体的なものが描かれている訳ではない。色彩が極限までに排除されたことで筆跡やマチエールなどが豊かに見え、鑑賞者はそれぞれに心象風景や体験と重なる何かを感じ取っているのだろう。
白によって支えられている、白が中心的存在の絵画。一般的には絵画で周縁として認知しがちな白を中心として見せる彼の絵画は、意識しなかったものに目を向ける視点を与えてくれる。

<文:中島佑介(「POST」ディレクター)>

Alternative Heritage

創業1894年より何世代にもわたって英国のアウトドアシーンで愛用され、世界最高品質のワックスドジャケットを製造する<バブアー>。独自の技術に裏打ちされた高い耐久性と機能性を兼ね備えたアウターは、第一次世界大戦中「潜水艦ウルスラ」の公式ユニフォームとして採用されたほど。その真摯なものづくりと品質が認められ、英国王室御用達として名誉のある「ロイヤルワラント」認定ブランドとして確固たる地位を築いています。バブアーのモノ作りへのアプローチに共感し、同じく服の機能的側面や素材のクオリティに強いこだわりを持つ<マーガレット・ハウエル>が、そのアーカイブをアップデート。ウィメンズは、バブアーのアーカイブを元にベルトやポケットのデザインを無くし、ライニングにチェックの配色を施したコート。メンズは、道具の出し入れに便利なフラットポケットを改良したフライフィッシング用ジャケットなど、現代のライフスタイルを意識したデザインの見直しを計りました。レディースならフェミニンなスカートやブラウス、メンズならタイや細身のトラウザーズなどと合わせ、クラシックでありながらモダンな感性を取り入れたスタイリングがおすすめです。

ウィメンズ コート
素材:コットン
価格:69,000円(税別)
※9月下旬入荷予定

メンズ ジャケット
素材:コットン
価格:59,000円(税別)

創業1894年より何世代にもわたって英国のアウトドアシーンで愛用され、世界最高品質のワックスドジャケットを製造する<バブアー>。独自の技術に裏打ちされた高い耐久性と機能性を兼ね備えたアウターは、第一次世界大戦中「潜水艦ウルスラ」の公式ユニフォームとして採用されたほど。その真摯なものづくりと品質が認められ、英国王室御用達として名誉のある「ロイヤルワラント」認定ブランドとして確固たる地位を築いています。バブアーのモノ作りへのアプローチに共感し、同じく服の機能的側面や素材のクオリティに強いこだわりを持つ<マーガレット・ハウエル>が、そのアーカイブをアップデート。

ウィメンズ コート
素材:コットン
価格:69,000円(税別)
※9月下旬入荷予定

メンズ ジャケット
素材:コットン
価格:59,000円(税別)


ウィメンズは、バブアーのアーカイブを元にベルトやポケットのデザインを無くし、ライニングにチェックの配色を施したコート。メンズは、道具の出し入れに便利なフラットポケットを改良したフライフィッシング用ジャケットなど、現代のライフスタイルを意識したデザインの見直しを計りました。レディースならフェミニンなスカートやブラウス、メンズならタイや細身のトラウザーズなどと合わせ、クラシックでありながらモダンな感性を取り入れたスタイリングがおすすめです。